2005年より東京大学病院 形成外科(光嶋勲 教授)にてリンパ浮腫の治療を担当させて頂き、現在は済生会川口総合病院 リンパ外科・再建外科の主任医長として診療を継続して参りました。国内外1000名を超える患者さんの診療を担当しております。
2018年1月からは、JR東京総合病院にてリンパ外科・再建外科センターを開設し、より多くの患者さん達の治療に携わりたいと考えております。
この10年間で診断法・治療法が飛躍的に進歩してきました。私どもの最新の治療実績をご照会させていただきます。尚、本治療実績は、国際医学雑誌で医学的/科学的な面から検証の上、発表しているデータと成ります。
詳細は、名土ヶ谷病院リンパ浮腫外来 HP へ。
2016年度は、年間281件のリンパ外科手術を担当しました。そのうち280件(99.6%)を局所麻酔で実施しました。重篤な合併症はここ10年間で発生しておりません。最近5年間の当チームにおける感染や、創離開等の合併症発生率は0.1%以下です。
以下、最新の治療結果です。
1.周径改善; 約75%
2.痛み改善; 約96%
3.蜂窩織炎改善; 約92%
近年の医学的・科学的データ解析により、リンパ管静脈吻合術において周径縮小効果は限定的であることが判明しました。手術単独ではなく、適切な保存療法との組み合わせが重要です。
(参考文献)
Multi-site Lymphaticovenular Bypass using supermicrosurgery technique for Lymphedema Management in lower lymphedema cases
Mihara M, Hara H, et al.
Plast Reconstr Surg. 2016 July.
浮腫部位の発赤に合わせて、突然の全身の発熱(38.5℃以上)を全身型の蜂窩織炎と診断します。
リンパ管静脈吻合術により、発生確率を約1/10に抑えることができます。私共は、患者さんの社会生活を著しく障害する蜂窩織炎の「根絶」に力を入れております。ぜひ早めにご相談下さい。
蜂窩織炎で悩んでいる患者さんの94%がリンパ管静脈吻合術にて改善しております。
尚、状態によっては複数回の手術が必要になる場合もあります。
(参考文献)
Lymphaticovenular anastomosis to prevent cellulitis associated with lymphoedema.
Mihara M, Hara H, et al.
Br J Surg. 2014 Oct;101(11):1391-6.
保存療法と外科治療を融合し、患者さん毎の病態に合わせたオーダーメイド治療を提案致します。
重篤に見える状態でも、リンパ機能を評価の上、最善の治療を組み合わせることで治療効果を得ることができます。
(参考文献)
Combined conservative treatment and lymphatic venous anastomosis for severe lower limb lymphedema with recurrent cellulitis.
Mihara M, Hara H. et al.
Ann Vasc Surg. 2015 Aug;29(6):1318.e11-5.