他の症例


リンパ嚢胞に対する治療

40代女性。子宮頚癌に対して、子宮摘出及び骨盤内リンパ節郭清術が施行されました。術後CT検査にてリンパ嚢胞が確認され、嚢胞の感染により、頻回な発熱症状を呈していました。ICGリンパ管造影検査にて、リンパ嚢胞内の貯留液と下肢リンパ流に関係性を認めたことから、局所麻酔下・リンパ管静脈吻合術を両下肢に行いました。術後1年目のCT検査にて嚢胞が消失していることを確認しました。

 

( 本症例に関する医学論文 )
Mihara M et al. Lymphatic-venous anastomosis for the radical cure of a large pelvic lymphocyst.  J Minim Invasive Gynecol. 2012 Jan-Feb;19(1):125-7.

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リンパ漏に対する治療

40代男性。外傷後に右下腿にリンパ漏(リンパ液の滲出)が出現。数ヶ月の軟膏治療を行うも、多量の浸出液の排液は継続し、徐々に潰瘍が拡大しました。ICGリンパ管造影検査にて、リンパ漏と右下腿リンパ流に相関を認めたことから、局所麻酔下・リンパ管静脈吻合術を足背及び下腿遠位に行い増した。術後2週間の段階で、浸出液はほぼ無くなり、2ヶ月後には傷は完全に治癒しました。

 

( 本症例に関する医学論文 )
Mihara M et al. The effect of lymphatico-venous anastomosis for an intractable ulcer at the lower leg in a marked obese patient. Microsurgery. 2014 Jan;34(1):64-7.  詳細はこちら

Mihara M et al. Low-invasive lymphatic surgery and lymphatic imaging for completely healed intractable pudendal lymphorrhea after gynecologic cancer treatment. J Minim Invasive Gynecol. 2012 Sep-Oct;19(5):658-62.

顔面リンパ浮腫に対する治療

50代男性。複数回の顔面及び頸部の癌に対して、切除術、頸部リンパ節郭清、放射線治療を実施しました。癌治療後から徐々に顔面の浮腫が悪化し、保存療法(圧迫治療・ドレナージ治療)を行うも症状は改善しませんでした。ICGリンパ管造影検査にて、顔面及び頸部のリンパ機能が残存していることから、局所麻酔下・リンパ管静脈吻合術を実施しました。術後、浮腫は改善し、余剰皮膚切除を切除(face lift)を行い、治療を終了しました。 

( 本症例に関する医学論文 )
Mihara M et al. Lymphaticovenous anastomosis for facial lymphoedema after multiple courses of therapy for head-and-neck cancer. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2011 Sep;64(9):1221-5.  詳細はこちら

その他の外科治療に関して

(リンパ節移植術・脂肪吸引術等)

当チームでは、リンパ機能が低下した患者さんに対して、全身麻酔下のリンパ節移植術や、局所麻酔下または全身麻酔下の脂肪吸引術も行っております。治療適応は、ICGリンパ管造影法や、MRIリンパ管造影、リンパシンチグラフィ検査にて判断します。
本治療は身体への負担・リスクがやや大きいため、術前の精密検査(リンパシンチグラフィ・インドシアニングリーンリンパ管蛍光造影法等)が大変重要となります。

代表症例(リンパ節移植術とLVA)

当科では、患者さんの病態に合わせて、リンパ節移植術とリンパ管静脈吻合術を組み合わせた治療を提供します。組み合わせを行うことで、それぞれの治療法のメリットを最大限に活用し、リスクを最小限に抑えることができてきました。

50代女性。子宮頚癌術後に両下肢リンパ浮腫が出現しました。局所麻酔下・リンパ管静脈吻合術を実施したところ、一時的に改善したのですが、再度悪化してきました。

リンパシンチグラフィ検査を実施したところ、右下肢のリンパ機能は著しく低下、左下肢のリンパ機能は中程度に低下していました。そのため、右下肢にはリンパ再生を目的としたリンパ節移植術を、左下肢にはリンパ管静脈吻合術を前麻酔下に行いました。術後、両下肢共に浮腫は改善し、経過は順調です。リンパ浮腫採取部位においてもリンパ管静脈吻合術を実施しており、浮腫の発生は認めていません。

( 本症例に関する医学論文)
Mihara et al. Case report: a new hybrid surgical approach for treating mosaic pattern secondary lymphedema in the lower extremities. Ann Vasc Surg. 2014 Oct;28(7):1798  詳細はこちら

代表症例(脂肪吸引術とリンパ組織移植術)

当科では、患者さんの病態に合わせて、脂肪吸引術とリンパ組織移植術やリンパ管静脈吻合術を組み合わせた最新の治療法を提供します。これまで対症療法とされてきた脂肪吸引術ですが、組み合わせ治療を行うことで、根治的な治療となってきました。

50代女性。2回の局所麻酔下・リンパ管静脈吻合術を行うも、元来のリンパ機能の低下により、浮腫の改善がみられませんでした。そのため、脂肪吸引の技術を応用し、皮下脂肪内の瘢痕組織を除去、及び、正常部位(右下腹部)からのリンパ組織移植術を行いました。術後、浮腫は改善し、経過順調です。

 

( 本症例に関する医学論文)
Mihara M et al. Modified lymph vessel flap transplantation for the treatment of refractory lymphedema: A case report. Microsurgery. 2015 Mar 6  詳細はこちら

超重症下肢リンパ浮腫に対する手術とリハビリテーションの組み合わせ

58才女性。子宮体癌治療後。

超重症下肢リンパ浮腫に対して、他院にて様々な治療を受けてきましたが、改善せず、私どもの診療チームを受診されました。

歩行トレーニング実施中。治療前は、杖をついて何とか歩いていたのですが、治療後は美しく健やかな歩行が実現できるようになりました。

 

※撮影・公開に関しては、患者さんのご許可を得ております。 

歩行解析を実施中。治療前は、片側だけが10kg以上の重り(浮腫)をつけて歩行していたため、歩行は横振れしていました。

 

治療後は、浮腫が改善すると共に、15kg近くも体重が落ちました。そのため、まっすぐ歩くことができ、美しく健やかな歩行が可能となりました。 私どもの診療チームでは歩行解析アプリを用いて、科学的な解析を行っております。 

脚力(筋力)評価のために、脚力評価テスト(筋力計μTas(ミュータス)を行います。

患者さんの目標と、数値評価により、適切なトレーニングプランを組み立てます。

超重症下肢リンパ浮腫の患者さんは、自宅に閉じこもることが多く体力が落ちてしまいがちです。 リンパ外科技術と、リハビリテーション技術の組み合わせで、私どもは最善の診療を行います。

脚力(持久力)の評価を、30秒立ち上がりテストにて行います。この検査にて、患者さん自身の長距離歩行の可否が判断できます。

私どもの診療チームを受診して頂いている患者さんには、リンパ浮腫を改善し、人生を楽しんでもらいたいと思っています。

 

旅行も楽しみの一つだと思いますが、楽しむためには、持久力がとても重要な要素となります。

リンパ外科手術と、最新のリハビリテーション技術の組み合わせにより、治療を行っていきます。 

リンパ浮腫をどげんかせんといかん! by  三原誠


20代女性。原発性リンパ浮腫への手術と保存療法の組み合わせ

20代女性。原因不明の両下肢浮腫(特にアキレス腱周囲)が出現し、様々な医療機関で診断がつかず、私どもの診療チームに紹介受診されました。

 

リンパシンチグラフィにて、原因不明のリンパ節萎縮を認め、原発性リンパ浮腫と診断しました。

 

LVAと保存療法の組み合わせで治療を行いました。

 

治療前(上段)は、鬱的な心理状態から仕事も辞め、自宅に引きこもりがちになっていました。治療後(下段)は、心理的にも前向きになり、仕事も再開し、毎週フィットネスクラブに通い、健康的な生活を送ることができております。ファッションを楽しむこともできています。

 

原因不明のリンパ浮腫でしたが、私どもの診療チームでは、画像診断(リンパシンチグラフィやICGリンパ管蛍光造影検査、リンパ管エコー検査等)により、適切な診断と、治療計画を立てます。その上で、患者さんの希望や目標設定に合わせて、外科手術、リンパセラピストによる適切なストッキング指導、理学療法士によるリハビリテーションにより、人生を立て直すお手伝いを様々なアプローチにて実施します。 

形成外科専門医 三原誠

リンパ浮腫を

どげんかせんといかん!

  1. 医学的エビデンスをもとに、最善の診断・治療技術を提供します。
  2. あなたに合ったオーダーメイドのリンパ浮腫治療を実践します。
  3. 低侵襲の根治的治療を実践します。
  4. 患者さんや、ご家族の生涯をサポート致します。
  5. (子宮性)不妊症もどげんかせんといかん! ※子宮移植研究
  • JR東京総合病院(新宿駅 直結
  • モミの木診療所(代々木駅 徒歩2分)
  • ベテル南新宿診療所(新宿駅、JR東京総合病院より徒歩3分



共著/リンパ浮腫(よく分かる最新の医学)/主婦の友社